大判例

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名古屋高等裁判所 昭和26年(う)749号 判決

本件記録を精査し、原判決が挙示しておる証拠の内容を検討すると所論の通り原判決は医師吉田誠三作成にかかる松本敬一、金城万沢、原本容甲に対する各診断書を証拠として挙示しているが、同じく挙示にかかる松生栄治に対する司法警察官作成の供述調書、及当審における証人松生栄治の証言によれば、前記松本敬一、金城万沢、原本容甲の傷害の部位程度につき実際診断を為したのは医師松生栄治であつて、右診断書の作成名義人となつている医師吉田誠三は多良診療所の責任者であるに過ぎず、右医師松生栄治が診断し乍ら、同人は吉田誠三名義を以て右各診断書を作成したものであることが明白であるから、かかる作成名義人を異にする書面は固より刑事訴訟法第三百二十一条第一項第三号所定の条件を具備する書面と認める事は出来ないから、よしや之を証拠とすることにつき被告人の同意があつたとしても之を断罪の資料とすることは許されないものと謂わざるを得ない。然るに原判決は前述の如く之を証拠として引用したのは採証の法則に違反したものと謂わねばならない、併し乍ら論旨に指摘する爾余の証拠については所論を肯定する何等の根拠はなく、原判決が引用する証拠の中右吉田誠三名義の三通の診断書以外の証拠を綜合すれば優に原判決認定の事実を肯認するに足るから結局右診断書を証拠に引用した違法はあつてもこの違法は毫も判決に影響を及ぼすものでないから原判決には所論の如き事実誤認又は審理不尽による理由不備の違法はないのでこの論旨は理由がない。

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